生命史のビッグファイブ ― 地球ちきゅうを襲おそった5回かいの大量絶滅たいりょうぜつめつ

テーマ:古生物学 / 5分速読

地球ちきゅうに生命せいめいが誕生たんじょうしてからおよそ40億年おくねん。その長大ちょうだいな歴史れきしの中なかで、生物せいぶつの大多数だいたすうが短期間たんきかんに姿すがたを消けす「大量絶滅たいりょうぜつめつ」が繰くり返かえし起おきてきた。通常つうじょう、100万年まんねんごとに約やく10%の種しゅが自然しぜんに絶滅ぜつめつすると考かんがえられているが、それをはるかに上回うわまわる規模きぼで75%以上いじょうの分類群ぶんるいぐんが消滅しょうめつした事変じへんが、過去かこに5回かい確認かくにんされている。これが「ビッグファイブ」と呼よばれる5大だい大量絶滅たいりょうぜつめつ事変じへんである。

第だい1の絶滅ぜつめつは、約やく4億おく4400万年前まんねんまえのオルドビス紀オルドビスき末まつに起おきた。この時代じだい、生物せいぶつのほとんどは海中かいちゅうに暮くらしており、三葉虫さんようちゅうや腕足類わんそくるい、サンゴ類るいが繁栄はんえいしていた。大陸たいりくが南極なんきょく域いきに位置いちしていたこの時期じき、大規模だいきぼな火山かざん噴火ふんかによる寒冷化かんれいかが引ひき金がねとなり、海水準かいすいじゅんが大おおきく変動へんどうした。全ぜん生物種の約やく85%が絶滅ぜつめつしたと推定すいていされている。

第だい2の絶滅ぜつめつは、約やく3億おく8000万年前まんねんまえから3億おく6000万年前まんねんまえにかけてのデボン紀デボンき後期こうきに発生はっせいした。「魚さかなの時代じだい」とも呼よばれるこの時期じき、植物しょくぶつが陸上りくじょうに進出しんしゅつし、根ねを発達はったつさせたことで岩いわだらけの大地だいちが栄養えいよう豊ゆたかな土壌どじょうへと変かわった。大量たいりょうの栄養分えいようぶんが海うみに流ながれ込こみ、藻類そうるいが異常いじょう繁殖はんしょくして海中かいちゅうの酸素さんそを奪うばい、海洋かいよう生物の約やく75%が絶滅ぜつめつした。

第だい3の絶滅ぜつめつこそが、地球ちきゅう史上しじょう最大さいだいの大量絶滅たいりょうぜつめつである。約やく2億おく5200万年前まんねんまえのペルム紀ペルムき末まつ、すべての大陸たいりくが一ひとつに集あつまり超大陸ちょうたいりくパンゲアが形成けいせいされていた時代じだいだ。現在げんざいのシベリアにあたる地域ちいきで、マントルが急上昇きゅうじょうしょうする「スーパープルーム」と呼よばれる現象げんしょうによって巨大きょだいな火山かざん活動かつどうが発生はっせい。大量たいりょうの二酸化炭素にさんかたんそが放出ほうしゅつされ、気候きこうが激変げきへんし、海水かいすいの酸性化さんせいかと酸素さんそ欠乏けつぼうが進すすんだ。全ぜん生物種の約やく96%が消滅しょうめつし、生態系せいたいけいの回復かいふくには約やく1000万年まんねんを要ようした。

第だい4の絶滅ぜつめつは、約やく2億おく100万年前まんねんまえの三畳紀さんじょうき末まつに起おきた。やはり大規模だいきぼな火山かざん活動かつどうが原因げんいんと考かんがえられており、生物せいぶつの約やく76%が姿すがたを消けした。しかし、この絶滅ぜつめつを生いき延のびた恐竜きょうりゅうたちが空あいた生態的せいたいてき地位ちいを埋うめるように急速きゅうそくに多様化たようか・大型化おおがたかし、ジュラ紀きの大繁栄だいはんえいへとつながった。

第だい5の絶滅ぜつめつは、約やく6600万年前まんねんまえの白亜紀はくあき末まつに起おきた、もっとも有名ゆうめいな大量絶滅たいりょうぜつめつだ。直径ちょっけい約やく13kmの小惑星しょうわくせいが現在げんざいのメキシコ・ユカタン半島はんとうに時速じそく約やく7万まん2000kmで衝突しょうとつし、幅はば180km、深ふかさ19kmの「チクシュルーブ・クレーター」を形成けいせいした。衝撃しょうげきで巻まき上あげられた粉塵ふんじんが大気たいきを覆おおい、太陽光たいようこうを遮さえぎったことで急激きゅうげきな寒冷化かんれいかが進すすんだ。恐竜きょうりゅう、翼竜よくりゅう、首長竜くびながりゅう、アンモナイトなどが完全かんぜんに絶滅ぜつめつし、約やく1億おく8000万年まんねん続つづいた恐竜きょうりゅうの時代じだいが終焉しゅうえんを迎むかえた。

ビッグファイブに共通きょうつうするのは、絶滅ぜつめつのあとには必かならず新あたらしい繁栄はんえいが訪おとずれたという事実じじつだ。空席くうせきとなった生態的せいたいてき地位ちい(ニッチ)を埋うめるべく、生いき残のこった生物せいぶつが急激きゅうげきな「適応放散てきおうほうさん」を遂とげる。恐竜きょうりゅうの絶滅ぜつめつがなければ、小型こがただった哺乳類ほにゅうるいが多様化たようか・大型化おおがたかし、やがて人類じんるいが誕生たんじょうする道みちは開ひらかれなかっただろう。近年きんねんの研究けんきゅうでは、温度おんど変化へんかが約やく5℃以上いじょうかつ100万年まんねん単位たんいで10℃以上いじょうの変化へんか速度そくどが生しょうじた場合ばあいに大量絶滅たいりょうぜつめつが起おきていたことが明あきらかになっている。

そして現在げんざい、「第だい6の大量絶滅たいりょうぜつめつ」がすでに進行中しんこうちゅうであるという指摘してきがある。過去かこの約やく100倍ばいのペースで種しゅの絶滅ぜつめつが進すすんでいるとされ、その原因げんいんは火山かざんでも隕石いんせきでもなく、ただ一いち種しゅの生物せいぶつ――人類じんるいの活動かつどうにほかならない。国立科学博物館こくりつかがくはくぶつかんの特別展とくべつてん「大絶滅展だいぜつめつてん」では、化石かせきや岩石がんせきに刻きざまれた証拠しょうこからこの壮大そうだいな物語ものがたりをたどることができる。過去かこの絶滅ぜつめつを知しることは、いま私わたしたちが生いきていることの奇跡きせきを実感じっかんする機会きかいでもあるのだ。

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