約2億100万年前、三畳紀とジュラ紀の境界で、地球史上4番目の大量絶滅が起きた。全生物種の約76%が消滅したこの事変は、ビッグファイブの中では比較的知名度が低い。しかし、この絶滅がなければ恐竜が地上の覇者となることはなかった。その意味で、後の中生代の姿を決定づけた極めて重要な転換点である。
この時代、超大陸パンゲアはすでに分裂を開始していた。北米とアフリカの間に巨大な裂け目が走り、やがて大西洋となる海が産声を上げようとしていた。この大陸分裂に伴い、中央大西洋マグマ区(CAMP)と呼ばれる史上最大級の火成岩区が形成された。その溶岩の総体積は推定で約1100万km³にも達し、現在の北米、南米、ヨーロッパ、アフリカの4大陸に痕跡が残る。
CAMPの噴火は約60万年にわたり断続的に続き、膨大な二酸化炭素と二酸化硫黄を大気に放出した。2013年、MITの研究チームは、絶滅の主な局面がわずか2万年以内という地質学的には一瞬の期間に集中していたことを明らかにした。急激な温暖化により気温は3〜4℃上昇し、海水の酸性化と無酸素化が同時に進行した。
海では、造礁性サンゴやコノドント(鰓のない原始的な脊椎動物)が完全に絶滅し、アンモナイトも大半の系統が失われた。陸上では、体長3〜5メートルに達する大型の偽鰐類(クルロタルシ類)が壊滅した。この偽鰐類こそ、三畳紀の陸上生態系における頂点捕食者であり、初期の恐竜たちの強力な競争相手だった。
三畳紀の恐竜は体長1〜3メートル程度の中小型が主流で、生態系の脇役に過ぎなかった。ところが第4の絶滅で偽鰐類が一掃されると、空いた生態的地位(ニッチ)に恐竜が爆発的に進出。ジュラ紀前期にはすでに体長10メートルを超える竜脚類が出現し、およそ1億3500万年続く「恐竜の時代」の幕が開いた。
2020年、コロンビア大学の研究グループは、CAMPの噴火が引き起こした大気中のCO₂濃度の急上昇が、現在の人為的な排出ペースと驚くほど類似していると指摘した。2億年前の大量絶滅は、現代の気候変動がたどりうる最悪のシナリオを示す警鐘でもある。過去の絶滅は単なる歴史ではなく、未来への教訓として、いま私たちに語りかけている。
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